↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(桐明 和久君) ただいまから本日の会議を開きます。
*議案上程
このたび、知事から第一九一号議案「令和四年度福岡県
一般会計補正予算」外一件がお手元配付のとおり提出されましたので、これを日程に追加し、一括報告上程いたします。
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第一九一号議案 令和四年度福岡県
一般会計補正予算(第六号)
第一九二号議案 令和四年度福岡県
流域下水道事業会計補正予算(第一号)
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2 ◯議長(桐明 和久君) この際、知事から提案理由の説明を求めます。服部知事。
*
知事提案理由説明
3 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。
本日、追加提案いたしました議案は、予算議案二件であります。今回の
補正予算は、国の
総合経済対策を最大限活用し、地域経済の活性化と成長・発展、次代を担う人財の育成、
新型コロナウイルス感染症対策に要する経費のほか、安全、安心の確保に必要な経費を追加するものでございます。
補正予算の額は、一般会計で六百九十六億五千二百万円余、企業会計では
流域下水道事業で九億三千五百万円余をそれぞれ増額しております。その結果、一般会計の総額は二兆三千三百八十七億四千五百万円余となります。一般会計の歳入は、
国庫支出金及び県債などの特定財源のほか、
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、
地方交付税を計上いたしております。
補正予算の主な項目について御説明申し上げます。
まず、地域経済の活性化と成長・発展であります。第一は、事業継続の支援であります。
中小企業の
コロナ関連融資からの借換えや、経営改善の取組などの新たな資金需要に応え、資金繰りを支援するため、
県制度融資に経営改善借換資金を創設し、
売上高減少等の要件を満たした事業者については、事業者が負担する保証料を県が全額負担いたします。現在、多くの御利用をいただいております新たな福岡の避密の
旅観光キャンペーンにつきまして、宿泊や旅行商品の料金に対する割引支援及び
地域クーポン券の発行を一月以降も継続し、
観光関連業界を支援してまいります。
第二は、危機に強い経済構造の実現であります。
物づくり中小企業のデジタル技術を活用した製品開発や新たな生産方式の導入などを支援するため、国の補助率を県独自にかさ上げし、
事業者負担を四分の一に軽減いたします。
経営革新計画を策定し、
売上げ拡大に向けた新商品、新サービスの開発に取り組む
中小企業に対する助成費を増額いたしております。
中小企業における事業承継を契機とした
販路拡大のための新たな事業展開や、
インボイス制度への対応も見据えた
デジタル化を支援するため、国の補助率を県独自にかさ上げし、
事業者負担を軽減いたします。農業分野では、営農組織が行う農地の団地化や土壌診断、ドローンを使った
農薬散布等を支援し、県産麦、大豆の生産拡大、生産性と品質の向上を図ります。台風被害を軽減し、収益力の強化につながる低
コスト耐候性ハウスの導入や、
農作物直売施設の整備等に対する助成費を計上いたしております。本県が誇る八女茶の輸出を拡大するため、
農林業総合試験場八女分場に製茶設備を増設し、輸出先に対応した
病害虫防除体系の開発を進めます。林業では、県産木材の生産力を強化するため、
高性能林業機械の導入や
木材加工施設の整備等を支援します。
原油価格高騰の影響を受ける
キノコ生産者に対し、
木質バイオマスボイラーなどの設備導入を支援し、省エネ化による経営強化を進めてまいります。水産業では、県産水産物の輸出を拡大するため、福岡市
中央卸売市場の冷蔵施設の整備を支援するとともに、マダイなど
輸出対象水産物の増産のため、筑前海に人工魚礁を設置いたします。
野生イノシシの
豚熱遺伝子検査の精度向上のため、
中央家畜保健衛生所に
高性能PCR検査機器を整備します。
次に、次代を担う人財の育成であります。
飲食事業者の
人材確保対策として、店長など店舗の
運営管理責任者等に対し、
シフト管理や
労働環境改善のための講習会を実施いたしますとともに、
就職希望者に対し、個別相談から
マッチングまで一貫した就職支援を新たに行います。農業高校の学習内容に、
ハウス内環境の
遠隔監視システムなど、
スマート農業機器を活用した実習や先進農家へのインターンシップを新たに導入し、DXに対応した農業人材の育成を図ってまいります。
公立中学校における休日の部活動の地域移行を円滑に進めるため、県の
移行方針等を検討する協議会を設置いたしますとともに、市町村に対しても、地域における
協議会開催経費を支援してまいります。
次に、
新型コロナウイルス感染症対策であります。人の往来が増える年末年始の感染対策を徹底するため、県外からの帰省者や旅行者などが受検できる無料検査を実施いたします。幼稚園や県立学校、私立学校、
放課後児童クラブ等が感染防止のために行う消毒液等の衛生用品の購入を支援いたします。
最後に、安全・安心の確保であります。第一は、安全で安心な
地域づくりであります。子供の安全を守り、保護者の不安を解消するため、幼稚園、
届出保育施設、障がい
児支援施設、小中学校、
特別支援学校が行う
送迎用バスの安全装置や
登園管理システム等の導入を新たに支援いたします。
公的施設サービスにおいて、子供の送迎に関わる全ての職員に対し、安全管理のための研修を実施し、県指針に基づく
送迎安全マニュアルの確実な実施を図ってまいります。妊娠から出産、子育てまで切れ目のない
子育て支援につなげますため、新たに妊娠八か月前後の面談を実施するなど
相談支援の充実を図るとともに、妊娠届出時及び出生届出時にそれぞれ五万円相当の出産・
育児支援金等を支給いたします。
生活福祉資金の特例貸付けを借り受けた方の
償還猶予相談や
生活再建支援に対応いたしますため、
自立相談支援事務所の
相談支援員を増員いたします。
霊感商法等の被害を防止し、消費者の安全、安心を確保するため、
霊感商法被害の事例や悪質商法の相談窓口を周知してまいります。県民の
マイナンバーカード取得を促進するため、
大型商業施設や企業等において
出張申請サポートを実施し、県内全ての未取得者に対する申請手続を支援いたします。
第二は、防災・減災、
県土強靱化であります。近年の豪雨による災害の激甚化、頻発化に対応するため、河川の改修工事や、土石流が発生した箇所への
砂防ダム等の設置など、
災害防止対策を集中的に実施してまいります。
緊急輸送道路や河川の護岸の整備、港湾の
老朽化対策のほか、ため池等の安全対策を進めてまいります。また、盛土等による災害の発生を防止するため、規制区域の指定に向けた基礎調査を開始いたします。
以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでございますので、慎重御審議の上、議決くださいますようお願い申し上げます。
4 ◯議長(桐明 和久君) 知事の説明は終わりました。
日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。井上正文君。(拍手)
*井上(正)議員質問
5 ◯十八番(井上 正文君)登壇 皆様、おはようございます。
自民党県議団の井上正文です。通告に従い、
マイナンバーカードの
普及促進に向けた
市町村支援について質問を行います。どうぞよろしくお願いいたします。
九月議会の我が会派の代表質問において、
マイナポイントの
受け取り対象となる
マイナンバーカードの申請期限が九月末に迫る中、
マイナンバーカードの
普及促進に向けた市町村への働きかけの状況や、
出張申請受付等を実施している市町村への支援内容について問いただしたところであります。その後、
マイナポイントの
受け取り対象となる
マイナンバーカードの申請期限は九月末から十二月末まで三か月延長となり、現在、多くの市町村では、カードの申請事務、
交付事務がピークを迎えております。そのような状況の中、さらなるカードの
普及促進を図るため、
出張申請受付等を実施するなど、市町村では人員不足も含め、対応に大変苦慮しているという声を聞きました。
そこで、まずは
マイナンバーカードの
普及促進に向け、
出張申請受付等に取り組む市町村に対する現在の県の支援状況についてお伺いいたします。
次に、国は、令和四年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指すとしておりますが、最新の県内の交付率の状況はどうかお尋ねいたします。
また、カードのさらなる
普及促進に向け、
人員不足等も含め、大変苦慮されております市町村に対してのさらなる支援の充実が必要ではないかと考えますが、県はどのように考えているのかお聞かせください。
最後に、
マイナポイント対象のカードの申請期限は十二月に延長となったものの、
マイナポイントの申込み期限は、従来どおりの来年二月までのままとなっております。しかしながら、十二月末までに申請のあったカードを二月末までに全て交付することは困難との声を市町村から聞いております。このような市町村の状況に鑑み、県は、
マイナポイントの申込み期限の延長を国に働きかけるべきではないかと考えますが、県としてどう取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。
以上、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
6 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。
*知事答弁
7 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、
マイナンバーカードの
出張申請受付等に取り組む市町村への支援状況についてでございます。県では、
大型商業施設及び市町村と協議、調整を進めまして、大川市の
ショッピングモールにおいて、大川市、柳川市、大木町による合同受付を実施したところでございます。また、
人員不足等で
出張申請受付の実施が難しいという市町村を支援いたしますため、
県行政書士会と連携しまして、
行政書士会による
出張申請受付の実施を希望する市町村との
マッチングを実施をいたしました。その結果、十月から十二月にかけ、東峰村や香春町の公民館等におきまして、
出張申請受付を計十八日間行うことといたしております。
次に、このカードの交付率と
市町村支援の充実についてでございます。ただいま申し述べましたとおり、市町村に対する支援を実施しているところでございますが、県の交付率は、今年十一月末現在で五四・八%、全国順位で見ますと十四位と、全国平均の五三・九%を上回ってはおりますが、一層の支援が必要であると考えております。このような中、先般成立いたしました国の令和四年度第二次
補正予算におきまして、カードの
普及促進の強化に係る経費が盛り込まれ、都道府県が行います
出張申請受付などが新たに補助の対象となる予定でございます。この新たな方針を受け、県が直接商業施設や企業などに出向いて受付を実施するための経費七千万円余を盛り込んだ
補正予算案を本日提案させていただいております。この予算をお認めいただきましたなら、直ちに実施体制の整備や訪問先の調整等に取りかかり、二月から三月にかけて受付を実施いたしますことにより、カードの
普及促進に取り組む市町村を支援し、その負担軽減を図ってまいります。
マイナポイントの申込み期限の延長についてでございます。市町村が行っておりますカードの
交付事務の進捗状況について確認を行いましたところ、
マイナポイント事業により申請数が増加したため、交付までの期間が通常一か月程度のところ、遅延が発生している。それから、
交付事務に必要な専用端末を増やしたいけれども、調達に時間がかかっている。それから、閉庁後に国のネットワークに接続して
カード交付前の準備作業を実施しているけれども、全国の市町村からのアクセスが集中するため、処理が遅く、接続できる時間も二十時までと限られているなどの理由によりまして、十二月末までの申請分を二月までに交付できないおそれがあることが分かりました。このため、県から国に対し、
マイナポイントの申込み期間の延長など、市町村の
交付事務に支障が生じないような対応について検討をお願いしているところでございます。今後も機会を捉え、国に対し市町村の状況を伝え、期間延長などの検討を申し入れてまいります。
8 ◯議長(桐明 和久君) 後藤香織君。(拍手)
*
後藤議員質問
9 ◯九番(後藤 香織君)登壇 皆様、おはようございます。
民主県政クラブ県議団の早良区選出の後藤香織です。
まず初めに、若者の地元定着のための取組について知事にお聞きします。本年十月、
九州経済調査協会は、九州の二〇五〇年の人口が二〇二〇年の四分の三になり、
国立社会保障・
人口問題研究所の推計をさらに上回る
減少ペースで人口減少が進行するとの推計を公表しました。それによると、二〇五〇年の本県の将来人口は四百二十七万人と推計されています。
人口減少社会への対応は喫緊の課題です。
福岡県総合計画の
人口ビジョンで、本県と他県との人口移動を
年齢階級別に見ると、各年代を通して
転入超過傾向にあり、とりわけ十代後半の年代では九州各県から転入があり、安定的な
転入超過傾向が見られます。しかしながら、就職時期に当たる二十代では転出超過が見られ、選んで福岡県に来た二十代の若者が本県から県外へ流出しており、本県にとって大きな痛手であると考えます。
そこでまず初めに、二十代の若者の県外への流出について、その要因を県はどのように分析しているのかお聞かせください。
二点目に、若者の人口減が見込まれる中で、若者が県内で安心して働き、暮らせる取組の強化が必要だと考えます。本県の若者の
県内就職促進の取組についてどのような施策を行っており、これまでどのような成果があったのかお聞きします。併せて、より一層の促進が必要だと考えますが、どのように取り組むのかお聞きをいたします。
次に、奨学金の
返還支援についてお聞きします。近年の四年制大学の学費の推移を見ると、平成の約三十年間で国公立、
私立大学ともに約三十万円増加しました。また、円安や
原材料価格の高騰を受け、物価高はとどまることを知らず、帝国データバンクによると、この一年間で値上げされた食料品は約二万八百品目と、過去三十年で異例の多さとなりました。総務省の
小売物価統計調査を見ても、食料品以外の値上げも顕著であり、教育関係でも制服、自転車、文房具など軒並み値上げが見られており、コロナ禍に加え、この学費の増加、昨今の物価高騰が
子育て世帯の負担を大きくしているのは明白です。さらに、
総務省家計調査家計収支編二〇二一により算出した
都道府県教育費負担率ランキングでは、可処分所得に占める教育費の割合が、福岡県は四・九七%で全国五位と高く、負担が大きい結果も公表されました。
こういった教育費に関する厳しい状況の中、
奨学金利用者は年々増加しています。
日本学生支援機構、以下機構と申し上げますが、この奨学金は、給付型を約二十三万人が受給していますが、その多くは貸与型であり、約八十五万人、日本の大学の学部生の実に三割以上が機構の奨学金を貸与、つまり借りている実態があります。本県でも、二〇二一年度、全学種で無利子第一種奨学金の貸与者は三万八百二十七人、有利子第二種奨学金は三万九千三十四人、貸与総額は約五百九億三千五百八十二万円と多くの方が利用しています。
この奨学金の返還については、機構の奨学金を貸与するのは学生本人であり、三か月以上の滞納が続けば、
個人信用情報機関に登録、いわゆるブラックリストに載ることで、携帯、車、家を買うことができないなど様々なリスクがあります。二〇二〇年度末時点で、この三か月以上の滞納者は十三万二千人、その額は二千六十九億円にも上ります。
奨学金貸与者で結婚や出産などの
ライフプランを諦めたり、一割が自己破産を検討するなど、
奨学金返済が若者に重くのしかかる厳しい実態が、若者の労働、貧困問題に取り組む
NPO調査の結果でも明らかになっています。
日本では、裕福な家庭の子供は恵まれた教育を受け、そうでない家庭の子は自分の希望する進路選択ができないなどといった貧困の連鎖も起きています。こんなときに大事になってくるのが奨学金のような制度であり、進路選択の実現に非常に重要な役割を果たしています。しかし、そういった救済のための
奨学金制度が、返還の重さからさらなる格差を生んでいるとの指摘もあり、返還の負担を小さくするためにも、奨学金の
返還支援が必要だと考えます。
内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議では、若年層を中心とした地方から東京圏等への人口流出への対策として、若者の地方定着の取組が重要であるとし、就職等による地域に定着する人材を確保するため、
都道府県等が大学卒業後に自団体の区域内に就職、居住することを要件として
奨学金返還支援の制度を創設した場合、その費用の一部を特別交付税措置するなど支援をしています。
中小企業の人材確保のため支援をする自治体もあり、例えば東京都は、若い人材が不足している建設、IT、
物づくり産業の
都内中小企業に特化し、企業と共同で
奨学金返還支援に取り組んでいます。こういった制度を利用するなどして、本年六月一日現在、既に三十六都府県、六百十五市町村が
奨学金返還支援を行っています。これについては、国も本年四月に、特に本制度を未導入の
地方公共団体におかれましては、導入に向けた積極的な検討をとの積極的な導入を促す通知を出しました。
そこで、この項の最後に、これまで述べた二十代の県外流出、物価高騰、負担の大きい教育費等の状況を鑑み、今こそ本県も基金の創設及び機構の
奨学金返還支援の取組を開始してはいかがでしょうか、知事の見解をお聞きいたします。
次に、
ウクライナから避難されてきた方々への継続的な支援について、知事と教育長にお聞きします。本年二月、ロシアの
ウクライナ侵攻が始まり、あと二か月余りで一年となります。国は、
ウクライナから避難されてきた方々に対し、特例として就労可能な
特定活動ビザを創設し、本県も福岡県
ウクライナ避難民支援連絡調整会議を設置し、県営住宅の提供、就労、教育などの
相談支援、
在留資格変更手続などの様々な生活支援を行ってきました。
そこで一点目に、本県に避難してこられた
ウクライナの方々の状況とその支援の取組の現状について、知事にお聞きします。
母国を離れ、日本に、福岡に避難してきた
ウクライナの方々は、侵攻の終わりが見えない中、避難が長引き、帰国のめどが立っていません。このような状況にありながら、
特定活動ビザの期限が一年であり、国は一年を超えての対応をいまだ明らかにしていません。もし国が対応しないとなった場合に、支援はどうするのかと不安の声を聞いています。
そこで二点目に、避難が長引いた場合、一年を超えて引き続きの支援継続が必要だと考えますが、現状での知事の考えをお聞きをいたします。
次に、特に日本語をはじめとした支援についてお聞きします。ほとんどの
ウクライナ避難民の方々が日本語ができない状態で来日し、就職はできるビザはあるものの、言葉の壁があり、やりたい仕事とできる仕事に乖離が生まれているのではないかと推測します。帰国するまでの間とはいえ、やりがいを持って働くことは人間として重要な要素であり、福岡での避難生活を充実させるための大きな要素の一つだと考えます。
そこで三点目に、日本語が壁となって就職を諦めざるを得ない方へさらなる支援が必要だと考えますが、日本語を話せない就労意欲のある方に対する支援はどのように行っているのか、また県の相談窓口への就職や日本語に関する相談件数は何件だったのか、その相談内容と併せてお聞きするとともに、今後どう支援を行うのか、知事にお聞きいたします。
私がお話を聞いた
ウクライナの御家族の中には中学生がおり、夜はオンラインで
ウクライナの学校の授業を受け、昼は近くの中学校に通っているとのことでした。日本語が話せない
ウクライナから避難されてきた子供たちに、地域で、学校で楽しく過ごしていただきたいと思っています。
そこで、この項の最後に、学校では、
ウクライナから避難されてきた子供に対し、具体的にどのように支援を行っていくのか、教育長にお聞きをいたします。
以上、知事、教育長の真摯な御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
10 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。
*知事答弁
11 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、二十代の若者の県外への転出の要因についてお尋ねがございました。
住民基本台帳人口移動報告によりますと、福岡県は昨年、全体では五千七百九十二人の転入超過になっております。しかしながら、二十代につきましては、議員からも御指摘がございましたが、全ての年代を通じて
唯一転出超過となっておるところでございまして、このうち二十歳から二十四歳では四百十一人、二十五歳から二十九歳では八百二十五人の合計千二百三十六人の転出超過となっております。二十代の動向を地域別に見てみますと、東京都、神奈川県など一都三県の東京圏に対して四千五百四十四人の転出超過となっております。国のまち・ひと・し
ごと創生本部の事務局が実施をいたしました意識調査におきましては、地方圏から東京圏への移動のきっかけとして、二十代前半では、進学や就職と回答した割合が六割を超えております。二十代後半では、自分自身や家族の転勤、転職、結婚などと回答した割合が五割を超えております。また、同本部は、
大学卒業者等が就職する割合の高い専門的、
技術的職業が東京圏に多いことが東京圏への移動の要因の一つと考えられると分析を行っております。二〇二〇年の国勢調査のデータを基に、本県からの転出者がどの業種に就業しているかについて分析をいたしますと、東京圏への転出者は、東京圏以外と比較し、情報通信業や学術研究、金融といった業種への就業割合が高くなっておりまして、ただいま申し上げました国による分析を裏づける結果となっております。このほか、東京圏には本社機能が集積し、賃金水準が高いということも要因になっているものと考えられます。
次に、若者の
県内就職促進の取組についてでございます。県では、県内の高校生や大学生等の地元就職を促進いたしますため、地元企業の経営者による出前講座や座談会、また職場見学会を実施をいたしております。また、学校の就職指導担当者に地元企業への理解を深めていただきますため、企業の人事担当者との就職情報交換会を開催しております。県が参画をいたしております九州インターンシップ推進協議会では、県内の大学生を対象に、地元企業や県庁、市町村でのインターンシップを実施し、昨年度は四百五十四人の学生を受け入れております。県外学生のUIJターン就職につきましても促進をしておりまして、就職支援協定を締結いたしております東京、大阪などの六十七の大学で実施をいたします就職相談会で出張相談を行ったり、あるいは県内企業をPRするための説明会を開催したりしております。また、県外からも参加しやすいウェブを活用した合同会社説明会やインターンシップを実施しているところでございます。県の若者就職支援センターでは、昨年度までの五年間で三万三千四百八人の若者が新たに登録をされまして、就職しました二万五千八百三人のうち、約七五%に当たる一万九千人余りが県内企業に就職したものと見込まれます。同センターでは、今年度から県内企業の魅力を発信する場といたしまして、新たにオンライン座談会を実施をいたしております。また、人材確保が喫緊の課題となっております県内の半導体関連企業の技術やその魅力を伝えますため、九月
補正予算によりまして、県内外の理工系学生を対象としたプロモーションツアーやウェブインターンシップを実施しているところでございます。今後もこういった取組によりまして、若者の県内就職の促進にしっかりと取り組んでまいります。
次に、奨学金の
返還支援についてお尋ねがございました。議員御指摘の都道府県と地元産業界が連携した
奨学金返還支援制度につきましては、大学等卒業後に地元企業に一定期間就業するなど要件を満たした学生に対し、奨学金の返還を支援するものでございます。したがいまして、本制度の創設には、産業界と若者の双方の理解が欠かせないと考えております。若者について見てみますと、学生の地元就職に関する民間の意識調査では、地元就職の条件として奨学金の
返還支援を選んだ学生の割合は低くなっております。また、技術系人材の不足が喫緊の課題となっております企業に対するヒアリング調査では、行政に期待する役割として奨学金の
返還支援と答えた企業は少数にとどまっている状況でございます。なお、商工団体、商工関係団体からも、
奨学金返還支援制度の創設を求める具体的な御要望はいただいておりません。このようなことを踏まえて検討を行ってまいりましたが、学生や地元企業のニーズが低いことなど、実施するには課題がなお多いものと考えております。また、大学生や二十代、三十代の本県出身者は、他県に比べますと地元就職、Uターン希望の割合が高いという特徴がございまして、こうした県内外の大学生等の本県への就職の希望をかなえることが重要であると考えております。県といたしましては、魅力ある雇用の場を創出していくとともに、地元企業に関する情報を、先ほども御説明申し上げましたが、様々な手法をもって丁寧に学生の皆さんにお届けし、若者の県内就職を促進してまいります。
次に、本県に避難してこられました
ウクライナの方々の状況とその支援についてお尋ねがございました。今月十二日時点で、本県には百三十一人の避難民の方がおられます。このうち五十六人は県内に親族や知人がいらっしゃる方、七人は国からの依頼により受け入れた方、ほか六十八人は日本経済大学の留学生でございます。県では、福岡県外国人相談センターに在福の
ウクライナの方を一名配置をいたしまして、住宅、就労、教育など多岐にわたる相談を受けますとともに、必要に応じて行政書士と連携し、在留資格変更の手続支援などきめ細かな対応を行っているところでございます。また、県営住宅及び入居に当たって必要となります照明器具とかガスこんろなど、こういった生活物資を無償で提供いたしております。現在、県営住宅には四世帯が入居をされております。市町村におきましても、十六の市町が公営住宅を提供していただいておりまして、七世帯が入居されておりますほか、学校の編入手続や日本語教室の案内などの支援が行われているところでございます。また、県が募集をいたしております
ウクライナ支援救援金に、先月末時点で三千四百万円を超える県民の皆様からの御寄附をいただきまして、日本赤十字社を通じ、
ウクライナでの人道支援に役立てられているところでございます。加えまして、県内の三十の企業や団体から生活支援や雇用などの申出が寄せられておりまして、避難世帯への食料品の定期配達などの支援につながっております。これらの支援は、県、両政令市、市長会及び町村会から成ります福岡県
ウクライナ避難民支援連絡調整会議におきまして情報を集約し、関係機関と共有するなどして、避難民の方々の支援に取り組んでいるところでございます。
次に、
ウクライナ避難民の方々への支援の継続についてお尋ねがございました。現在、避難してこられました方々は、九十日間の短期滞在として日本に入国後、一年間の特定活動の在留資格に変更が認められます。一方、
ウクライナ情勢は、現時点では早期に収束する見込みが立たない状況でございまして、避難生活の長期化が考えられます。現在認められている特定活動の在留資格の更新につきましては、県から出入国在留管理庁に問合せを行っていますが、国の方針はまだ示されていない状況にございます。やはり
ウクライナの避難民の皆様方もこの点を非常に不安に思っておられると思います。県といたしましても、この国の動向を注視しながら、引き続き
ウクライナ避難民の方々へできる限りの支援を行っていきたいと考えております。
日本語を話せない避難民の方への就労支援についてでございます。県外国人相談センターに寄せられております就職や日本語に関する相談は、先月末時点では十七件ございました。その内容は、就職や転職した場合の在留資格の取扱いでありますとか企業の雇用手続、あるいは日本語教材やお住まいの地域の日本語教室についての問合せなどでございました。就職に関する支援といたしましては、県では、先ほど申しましたが、福岡県
ウクライナ避難民支援連絡調整会議に各企業から寄せられた求人の意向に関する情報を福岡労働局に提供いたしまして、ハローワークの中に設けられております福岡外国人雇用サービスセンターを通じ、
マッチングにつなげているところでございます。また、日本語習得を希望する方には、市町村と連携した日本語教室の紹介でありますとか、
ウクライナ語版の日本語学習教材の案内を行っております。現在就労されております避難民の方は十六名おられます。その中には、これらの取組により就職に結びついた方もおられます。県といたしましては、引き続きこのような支援にしっかりと取り組みますとともに、
就職希望者のニーズを丁寧にお聞きしながら、就職に伴う雇用契約など諸手続の際に通訳ボランティアを派遣するなどして、就労意欲のある方々に寄り添った支援を行ってまいる考えでございます。
12 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。
*教育長答弁
13 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 学校における
ウクライナから避難してきた子供たちへの支援についてでございます。
ウクライナから避難してきた学齢相当の子供に対しましては、本人、保護者の希望に応じて小中学校に受け入れております。その受入れに当たりましては、日本語指導が必要な状況でございましたために、日本語指導担当教員や学習支援員による指導を行うほか、日常のコミュニケーションが取れますよう、翻訳機能を備えた端末を貸与いたしております。また、受入れ自治体では、独自の支援策として、大学生とのオンラインや対面での日本語指導の機会を設けております。さらに、学校外での日常生活についても、地域の支援団体が日本の習慣等を教えたり、母語が話せる外部人材の協力で、子供や保護者の心のケアを行うなどの支援も行っているところでございます。つらい経験をして日本に避難する子供たちが充実した学校生活を送ることができるよう、今後も取り組んでまいります。
14 ◯議長(桐明 和久君) 後藤香織君。
15 ◯九番(後藤 香織君)登壇 知事及び教育長より御答弁をいただきました。
奨学金の
返還支援について要望をさせていただきたいと思います。知事からは、様々なデータを用い検討を行ってきたが、学生や地元企業のニーズが低いことなど、実施するには課題が多いとのことでした。しかしながら、知事が御答弁をいただいた地元就職に関する意識調査も、
奨学金貸与者に限定したものではないことから、本県の若者の
奨学金貸与者に対する正確な実態把握というのは不十分なのではないかと推察をします。今後、機構からの情報提供など、貸与者の実態を調査し把握していただくこと、また二〇二一年四月からは、企業による代理返還制度もスタートしています。企業側が所得税非課税などの優遇措置も受けられます。こういった制度を本県内の企業に提供することなど、様々な制度を活用、研究していただき、
奨学金返還支援につなげていただくことを要望いたします。
若者の未来のために、奨学金返還に係る負担を小さくできる取組の実現を期待して、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
16 ◯議長(桐明 和久君) 永川俊彦君。(拍手)
*永川議員質問
17 ◯五番(永川 俊彦君)登壇 食と緑を守る緑友会福岡県議団の永川俊彦でございます。通告に従いまして、本県におけるスポーツ振興による地域と経済の活性化について質問をさせていただきます。
本県は、福岡県スポーツ推進計画に基づき、福岡県のスポーツをより元気に、スポーツの力で福岡県をより元気にを基本理念とし、スポーツ立県福岡の実現を目指しております。福岡県スポーツ推進計画は、県がスポーツの推進を通して目指すべき姿を示したもので、今後のスポーツ推進に関わる県の施策の方向性を示すとともに、市町村や関係団体におけるスポーツ推進の指針となるものです。計画期間は二〇一四年度から二〇二三年度の十年間ですが、現在は二〇一九年度から二〇二三年度の後期計画の実施期間となっております。本計画では、基本理念を踏まえた七つの目標が掲げられておりますが、今回私は、その中の一つ、地域と経済が活性化するに着目し、以下たださせていただきます。
当該目標の目指す姿として、スポーツを生かした地域活性化が図られているとともに、スポーツ市場規模が拡大するなど地域経済の成長につながっている、とされております。そして、目指す五年後の姿として、県域をカバーする地域スポーツコミッションが設立され、大規模スポーツ大会の開催による経済効果が生まれることを掲げております。
そこで、まず知事にお伺いいたします。これまでの大規模スポーツ大会の開催実績とその経済効果についてお聞かせください。
次に、目標の実現に向けた取組の方向性として掲げている、スポーツを通じた本県の魅力発信、観光振興についてお伺いします。私の地元大牟田市を例に挙げさせていただきます。大牟田市の市民体育館は建築後四十七年が経過しており、施設の老朽化、バリアフリーや耐震基準の面で問題を抱えておりましたが、本県をはじめといたします関係各位の皆様方の御協力により、市民の長年の悲願であった新総合体育館が令和六年にオープンする計画で推移をしております。また、三百室を超える全国ホテルチェーンの出店も、令和七年に営業開始が決まっており、今後、スポーツ大会や合宿などが行われることを期待しているところでございます。
スポーツ大会や合宿などを契機とし、近隣市町村と連携してスポーツツーリズムを推進することは、スポーツを通じた魅力発信、観光振興につながり、地域の活性化を図る上で有効であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
最後に、スポーツを活用した地域振興、とりわけ県内のプロスポーツチームが横断的に連携し、地域スポーツの振興や地域の活性化に関わり貢献することができる仕組みづくりについてお伺いいたします。今月三日、福岡県、大牟田市、国際オリンピック委員会、公益財団法人日本オリンピック委員会、NPO法人日本オリンピアンズ協会が主催となり、二〇二二オリンピックデーラン大牟田大会が開催され、十名のオリンピアンに参加をいただきました。当日は、子供たちを中心にたくさんの参加者が集い、私も様々な競技のオリンピアンと共にジョギングし、思い出深い一日となりました。そのほかにも、サッカーやバスケットボール、ソフトボール教室を通した技術的な指導や、オリンピアンによるトークショーやサイン会を通して、様々な交流がなされました。ある小学生の参加者の保護者の方から御連絡をいただき、帰宅するなり、オリンピック選手と話せた、サイン色紙をもらえた、とても楽しかったと大変喜んでおり、貴重な体験をさせてもらったとの声をいただきました。このようにトップアスリートと子供たちが触れ合うことは、子供たちに夢や目標を与え、スポーツに親しむ機会となるものと実感をいたしました。特に、今回のオリンピックデーランのように、いろいろな競技のトップアスリートが集まって子供たちにたくさんの種目を体験させることは、自分に合った種目、興味のある種目を見つける機会ともなると感じております。
福岡県には、多くのプロスポーツ選手やチームが存在しております。これらの選手やチームが連携し、地域スポーツの振興や地域の活性化に貢献する仕組みを活用することで、地域で過ごす子供たちがスポーツを始めることにつながると考えますが、この取組の状況につきまして最後に知事にお伺いし、質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
18 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。
*知事答弁
19 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
まず、大規模スポーツ大会の開催実績と、その経済効果についてお尋ねがございました。令和元年に、全国十二の開催地の一つとしてラグビーワールドカップ二〇一九を開催し、国内外から約五万三千人の方が来場をされました。本大会におきましては、選手、関係者、観客の宿泊費や飲食費、交通輸送費や会場整備費などの直接効果で約九十九億円、間接効果を含めますと約百五十四億円の県内経済への波及効果を創出したところでございます。また昨年十月には、世界体操・新体操選手権北九州大会を北九州市と協力し開催をいたしました。この大会は、史上初めて同時期に同一都市で開催される二つの国際大会として、またコロナ禍により無観客で実施されました東京オリンピック・パラリンピック競技大会後の国内では初の有観客での国際大会として開催をいたしまして、約二万七千人が来場をされました。本大会におきましては、直接効果で約三十億円、間接効果を含めますと約五十億円の県内経済への波及効果を創出したところでございます。
次に、スポーツツーリズムの推進についてでございます。このスポーツツーリズムは、大会への参加や観戦、トレーニングといった目的に加えまして、近隣市町村が連携して各地に点在する観光名所や地元の食の魅力、特産品などを紹介し、来県する方々に楽しんでいただきますことにより、本県の魅力、すばらしさといったものを知っていただきますとともに、滞在期間を延ばすことにもつながりますことから、観光関連産業振興の上で有効なものであると考えております。このため、来年本県で開催をいたしますツール・ド・九州二〇二三では、今年度作成をいたしました通過市町村における観光スポット、文化、食などの魅力を伝えるプロモーション動画を大会ホームページやSNSを活用しまして国内外に発信し、大会への関心を高めますとともに、レース観戦と県内でのサイクリングを組み込みましたモデルコースを国内外の旅行会社へ紹介し、旅行商品の造成を促してまいります。このような大会の開催を契機といたしましたスポーツツーリズムの推進は、国内外から訪れる観戦客と地域住民との間に新たな交流が生まれること、地域住民の皆さんがスポーツに興味、関心を持つことで健康づくりにつながることなどの効果が期待できますことから、地域の活性化にも資するものであると考えております。
次に、プロスポーツ選手やチームが連携した取組についてお尋ねがございました。これまで県内に拠点を置きますプロスポーツチームでは、県あるいは市町村と連携をしまして、豪雨による被災地域でのスポーツ教室の開催、また不登校の子供たちを対象とした大会運営ボランティア体験、小学校でのタグラグビー教室の開催など様々な活動に取り組んでいただいているところでございます。県では、野球、サッカー、バスケットボール、ラグビー、卓球など県内のプロチームをはじめ様々な競技のトップチームによる地域貢献活動を促進するため、コンソーシアムを組織をいたしております。今後、このコンソーシアムにおきまして、市町村主催のスポーツイベントへ異なる競技の選手を複数派遣することや、いろいろな競技を同時に楽しめるスポーツ体験教室を開催するなど、トップチームが連携し、子供たちが様々なスポーツに触れるきっかけづくりについても協議してまいる考えでございます。
20 ◯議長(桐明 和久君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時四十分といたします。
午 後 零 時 二十七分 休 憩
午 後 一 時 四十一分 再 開
21 ◯副議長(井上 博隆君) 再開いたします。
*諸般の報告
諸般の報告を行います。
提出議案中第一六四号議案「福岡県職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定について」外四件について人事委員会の意見を求めましたところ、お手元配付のとおり意見の提出がありました。
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22 ◯副議長(井上 博隆君) 以上、報告いたします。
休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。新開昌彦君。(拍手)
*新開議員質問
23 ◯七十二番(新開 昌彦君)登壇 皆さん、こんにちは。公明党の新開昌彦でございます。通告に従いまして一般質問を行います。今回は、透析患者の支援について質問をいたします。
透析患者は県内に一万五千人を超え、年々増加傾向にございます。透析患者が透析ができなくなることは、命に関わります。福岡県は、平成十七年の西方沖地震をきっかけに防災メール・まもるくんをつくり、翌平成十八年から、防災メール・まもるくんの中に、災害時透析メールを設置いたしました。これは有事の際、透析病院がダウンしても、透析医会から災害時透析メールを使って新たな受入れ病院を伝えるシステムで、実際に活用されております。私は、開設に当たりお手伝いができたことを大変うれしくも思いますし、執行部の皆様には大変感謝を申し上げます。
今回は、福岡県腎臓病患者連絡協議会の透析患者の方々から、透析患者の高齢化に伴う課題について教えていただきました。その家族の方から、私たちは、介護施設になかなか入れないんですよ。私の夫は介護施設が透析病院の近くにあったのですが、受け入れていただけませんでした。仕方なく、受け入れてくれる介護施設の近くにある透析病院に転院しました。とても不安でしたと教えてくれました。透析患者の高齢化は、全国的に同じ傾向です。腎臓病患者の状況は、慢性糸球体腎炎は、市町村の健康診断で早期発見がなされ減少していますが、糖尿病性腎炎は、増加傾向にあります。そして六十五歳以上の患者数は、全体の六九%と高齢化が大変進んでおります。福岡県の高齢者の透析患者の実態について、福岡県透析医会が二〇一四年から二〇一八年まで毎年実態調査を行っています。その調査は質も量も全国一であり、福岡県における高齢透析患者の介護関連実態調査二〇一四年という論文は、二〇一六年に福岡県医学会賞を受賞しています。受賞者は福岡県透析医会の村石昭彦理事であります。さらに、二〇一八年に行った大規模調査、介護関連入居施設側から見た透析患者や透析医療に関する意識および実態調査は、県内二千四百十八の介護施設にアンケート調査を行い、七九・二%という高い回答率でありました。十一月初めに、私は、柳川市に赴き福岡県透析医会の理事であり介護保険委員長の村石昭彦医師を訪ねました。村石先生は、私たちが福岡県の高齢透析患者の実態調査をした結果、透析患者の通院問題が深刻化する中で介護施設に対するニーズが高まっていることが分かりました。ところが入所が難しいのが実態であることも分かりました。しかし、施設側の意識や実態、透析医側のアプローチ等、お互いの意思疎通がもっとなされれば、これは解消できることも分かりましたと、調査を基に教えていただきました。
このアンケート調査から課題を御紹介します。まず、介護施設に入りたくても受け入れてくれる施設が少ないという実態についてであります。まず、県内の七十五歳以上の透析患者のうち、二人に一人が介護認定を受けています。さらに、独力で通院している方は五〇%以下であり、ほとんどは透析施設の送迎支援に頼っていて、介護度が上がるにつれて介護タクシーを利用するようになり、通院困難になると社会的入院か介護施設の利用を考えなければならなくなるという現実が見えてきました。通院の課題は後で述べますが、介護施設に対して透析患者の受入れが進まない理由を問うと、患者の急変が五六・三%、送迎問題が六七・〇%、職員の理解が三一・六%などと回答しています。逆に、初めて受け入れた施設に不安を問うたところ、予想よりも問題は少なかったと回答した施設は四一・五%、ほかの方と同じだったと回答した施設は四二・九%と高いスコアでありました。つまり、施設側が透析医療に関する知識が不足しているために透析患者に対する不安や恐れにつながっていることが分かります。逆に、介護施設は、透析医療に関する勉強会や講演会を期待すると回答した施設が四一・五%、透析の見学を希望するが四七・七%と回答しています。この数字を見ると、村石先生がおっしゃるとおり、私も透析医会や介護施設の相互の顔が見える関係がつくり上げられれば問題の解消につながっていくのではないかと納得をいたしました。村石先生は、全国でも同様な課題があると言われます。全国に透析患者は三十三万人。介護施設に入所が必要な患者は四から五%でありますので一万五千人前後です。透析施設は全国に四千五百軒ほどでありますので、一透析施設が三から五か所の介護施設と連携すればよいことになると試算されておられました。
次に、二点目の課題は、透析患者の通院支援についてであります。先ほども申し上げましたが、透析患者の約七割は六十五歳以上です。家族構成は、一人が一七・七%、二人、いわゆる老老世帯が四七・八%です。移動手段は、透析施設の送迎車やタクシー、介護タクシーが活用されておりますが、高齢化が進み移動ができなくなると、介護施設の受入れが進まないために社会的入院となってしまい、医療費の増大につながります。透析患者の通院費は、三万円以上の方も三・一%おられ、最高は月に九万円という方もおられます。透析患者は週三回の透析は必須ですので、交通費の負担が重くのしかかっているのが実態であります。
そこで知事に質問させていただきます。まず、福岡県透析医会が行った高齢化する透析患者と介護施設についての調査について知事の認識をお示しください。
次に、高齢透析患者の介護施設入所について伺います。透析患者の介護施設入所の課題解決のために、県が中心となって透析医会のデータを基にして、介護施設と透析医会、患者の会の皆さんと情報交換を行い、透析患者が介護施設に受け入れられるように環境を整えていただきたいと思いますが、知事の答弁を求めます。
次に、透析患者の通院支援についてお聞きします。透析患者は障害者手帳を持っておりますので、市町村が交付する福祉タクシー券が利用できます。この福祉タクシー券を透析患者の通院にも使えるようにしている自治体が県内に三十三あります。この事例は宗像市が最初だとお聞きしておりますが、このような好事例を他の自治体にも広がるよう県は丁寧に周知を図る必要があると考えますが、知事の答弁を求めます。
知事の心温まる御答弁を期待して、質問を終わります。(拍手)
24 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。
*知事答弁
25 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
福岡県透析医会が行った調査についてでございます。この調査は、入居を必要とする透析患者の介護施設への受入れが進まない中で、県内全ての介護施設を対象に、施設側が抱く不安や諸問題についての実態調査を行っていただいたものでございます。アンケートの回答率は七九%と、ほぼ八割と高く、調査の結果から、透析患者の介護施設への受入れが進まない理由とその課題が明らかにされておりまして、透析医療機関のみならず、介護施設や行政機関においても貴重な調査であると認識をいたしております。
次に、高齢透析患者の介護施設の入所についてお尋ねがございました。この福岡県透析医会が行いました調査によりまして、急な変化への対応でありますとか、医師や看護師がいないといった医療面での不安、また職員の知識、理解の不足、食事管理の難しさなどの介護面での不安、こういった課題から、透析患者の介護施設への受入れが進んでいないという実態が明らかとなったところでございます。一方で、透析患者を受け入れた施設からは、課題は予想よりも少なかったという回答が最も多くなっておりまして、施設側の知識や理解を深めていく必要があるとされておるところでございます。県といたしましては、介護施設団体の研修会等におきまして、福岡県透析医会でありますとか、あるいは福岡県腎臓病患者連絡協議会が透析医療の実態について説明する機会を調整するなど医療と介護の連携を促すことによりまして、透析患者の方の介護施設への受入れが進むよう努めてまいります。
透析患者の方の通院支援についてでございます。県内の五十三の市町村におきましては、日常生活の利便性向上と社会活動の範囲の拡大を図りますため、重度の障がいのある方に対し福祉タクシーの利用券を交付する事業を実施をしております。このうち三十三の市町村では、助成対象となる障がいのある方が人工透析を受けている場合には、通院費用の負担を軽減するために、より多くの利用券を交付しているところでございます。この助成事業の内容につきましては、県が作成しております障がい者福祉情報ハンドブックにまとめております。県では、市町村に対しまして、来年三月に障がい福祉担当課長会議を開催予定としておりますので、この会議におきまして、このハンドブックを活用し、市町村ごとの助成内容等について情報提供を図ってまいりたいと思っております。
26 ◯副議長(井上 博隆君) 新開昌彦君。
27 ◯七十二番(新開 昌彦君)登壇 知事の答弁をいただきました。久々の満額回答だと思います。ありがとうございます。
知事に一点要望させていただきます。透析患者の介護施設の入所の問題、これは全国でも課題は同じであるとお聞きをしております。今回、知事は福岡県透析医会の調査を高く評価をされました。その上で、医療と介護施設そして福岡県腎臓病患者連絡協議会の患者の方々との情報交換の場を県が調整し、透析患者の介護施設受入れが進むよう努めるとの答弁をいただきました。本当にありがたく、感謝申し上げます。これは、全国に先駆けた取組と思います。ぜひ全国の模範となる結果を出していただきますよう強く要望いたします。
また、透析患者の移動支援についても全県に広がりますよう重ねて要望させていただきます。
以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
28 ◯副議長(井上 博隆君) 高瀬菜穂子君。(拍手)
*高瀬議員質問
29 ◯六十九番(高瀬 菜穂子君)登壇 日本共産党の高瀬菜穂子です。通告に従い、一般質問を行います。
まず、子供の医療費助成についてです。子供の医療費助成は、国が一律で無料化を行わない中、五十年来の草の根の運動が実り、助成制度が全国で拡充されています。本県市町村においても、十八歳までの助成制度は、入院で十二自治体、通院で九自治体に広がっています。全国では昨年度、千七百四十一自治体のうち、通院八百十七自治体、入院八百九十二自治体と、約半数の自治体で実施されています。県として十八歳までの支給制度のあるところは静岡、茨城、鳥取、福島の四県で、岩手県が来年度からの実施を表明しています。子供の貧困率が全国五位と言われている本県においても、十八歳までの助成に踏み切るべきではないでしょうか。
現行制度に要した費用は昨年度決算で幾らですか。現行制度を適用し、対象年齢を十八歳までに拡大した場合の費用負担はどれだけになるのか、お答えください。また、十八歳まで自己負担を無料とした場合の費用についても明らかにしてください。その上で、十八歳までの医療費助成の拡大について、知事の見解を伺います。
次に、子供の眼鏡の助成制度についてです。文科省の調査では、子供の視力は年々悪化しており、その対策は、学力向上の観点からも、今後の医療、福祉施策を考える上でも喫緊の課題です。私は、二〇一五年の六月議会においてもこの問題を取り上げましたが、この七年余りで子供の視力は低下、子育て世代の経済状況は悪化しており、どうしても助成制度をつくっていただきたく、再度質問いたします。コロナ禍で一気にICT教育が進み、視力への影響は各方面から心配されています。一方、
子育て世帯の負担は大きく、以前から、眼鏡の費用負担を心配して、学校での視力検査の結果を親に見せない子供がいるということが指摘されてきました。星の観察をしているときに、全く違う方角を見ながら、見えているふりをする子供の姿にショックを受け、眼鏡の補助制度をつくってほしいと言ってこられたお母さん、生活保護だと眼鏡の費用が出るんですね、子供に眼鏡を買い換えてやれなくてと肩を落とすシングルマザー。私自身も、高校時代、初めて眼鏡が必要と言われたとき、親に言い出せず、遠くの山を見て自力で治らないかと試した経験もあり、こうした訴えはとても切なく、子供の眼鏡に対する助成を強く求めるものです。
そこで教育長に伺います。学校保健安全法に基づく視力検査において、裸眼視力一・〇未満の本県児童生徒の割合はどれくらいですか。全国との比較でお答えください。また、教室の最前列でも黒板の字が見えにくく早急な対策が必要とされる〇・三未満で、眼鏡やコンタクトの矯正をしていない児童生徒の割合はどれくらいですか、同様にお答えください。
神奈川県横浜市や川崎市、東京都墨田区、栃木県日光市などで、眼鏡を就学援助の対象とし、一万五千円相当の補助をしています。県として、眼鏡を就学援助の対象にした場合の助成制度をつくることについて、教育長の見解を伺います。
また、就学援助によらず、子供の貧困対策として低所得世帯の子供の眼鏡助成制度を県としてつくることについて、知事の見解を伺います。
最後に、学校部活動の地域移行についてです。本年六月、スポーツ庁と文化庁の有識者会議は、持続可能な部活動と教職員の働き方改革に対応するため、
公立中学校の休日の部活動を皮切りに、二〇二五年度をめどに段階的な地域移行を実施する内容の提言をまとめました。この提言後間もなく、全国市長会は運動部活動の地域移行に関する緊急意見を取りまとめ、国の責任、費用負担の在り方、スポーツ団体等の整備充実、指導者等の確保、保険の在り方など具体的な項目を挙げて、政府に措置を求めました。日本の教職員の長時間労働は世界的に見ても異常であり、早急な対応が求められます。一方、部活動は学校教育の一環として位置づけられ、教育基本法が教育の目的として定める人格の完成に重要な役割を果たしてきました。地域移行を行うには、その受皿が必要であり、その条件は地域によって様々です。そもそも、日本のスポーツ施設の数はヨーロッパ諸国と比べて極めて少なく、その多くを学校体育施設に依存しています。担い手となるクラブ数もヨーロッパ諸国の数百人に一施設に比して、日本の場合、国が推進している総合型地域スポーツクラブでさえ全国に三千六百四か所しかなく、三万五千人に一施設です。経済産業省の「未来のブカツ」ビジョンには、新たなクラブの運営の試算がされていますが、部員二十名、週二回で月九千五百円などと試算されており、これは保護者アンケートで受容できる負担額、月二千五百円を大きく上回ります。これでは、経済格差が文化享受の格差となります。子どもの権利条約第三十一条には、子供が自主的、専門的、発展的な文化活動を追求する権利が掲げられています。どこに住んでいようと、文化、スポーツを楽しむ権利が保障されなくてはなりません。県内中学校の部活動の運動部の在籍率は約五五%で、その権利保障は今も部活が担っています。専門性を伴う責任ある仕事なのに、部活指導員の報酬は少な過ぎます。
そこで教育長に伺います。まず、部活動の意義、克服すべき問題点について見解をお示しください。
部活の地域移行に際しては、当事者である子供、教職員、保護者等の意見を十分に聞き、県民的な議論の上で、地域の実情に合わせて進めることが重要だと考えます。見解を伺います。
さらに、拙速な地域移行を地方に任せるのでなく、国が指導者の確保や施設整備などの条件整備、費用負担について責任を持つことが求められます。また、部活動を含む全ての業務を勤務時間内に収める取組を推進し、スキルのある教員が一定の役割を果たすことも視野に置くべきではないかと考えます。
持続可能なスポーツ環境の整備について、教育長の見解を伺います。
以上です。(拍手)
30 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。
*知事答弁
31 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
子供医療費支給制度の拡大についてでございます。県では、県全体の医療費助成の底上げを図りますため、昨年四月に対象年齢を小学六年生から中学三年生まで引き上げておりまして、昨年度の市町村への助成額は約五十六億円となっております。仮に、中学生と同様の自己負担額と所得制限を適用いたしまして、対象年齢を十八歳まで引き上げた場合、約七億円、自己負担額を十八歳まで無料とした場合は、さらに約二十億円の県の追加財政負担が必要となります。同時に、こうした見直しは、対象年齢を中学生までとしている市町村や、自己負担を設定している市町村にも新たな財政負担が生じることとなります。子供医療費支給制度の対象年齢の拡大や自己負担の撤廃につきましては、この制度を将来にわたって持続することができますよう、財源確保の見通しや自己負担の在り方、市町村の意向等を踏まえながら、慎重に検討していかなければならないと考えております。
次に、低所得世帯の子供の眼鏡の購入助成についてでございます。低所得世帯の福祉用具の購入に必要な経費につきましては、
生活福祉資金の貸付制度の対象となりますので、その制度を利用して眼鏡を購入することは可能でございます。このように現行制度の中で一定の対応がされておりますので、新たな助成制度を設けることは考えていないところでございます。
32 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。
*教育長答弁
33 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 学校の視力検査の結果についてでございます。国の学校保健統計調査によれば、令和三年度の裸眼視力が一・〇未満の児童生徒の割合は、本県の小学生では、全国より六・三ポイント高い四三・二%で、中学生では、全国より〇・二ポイント高い六〇・九%となっております。また、令和三年度の裸眼視力が〇・三未満である児童生徒のうち、眼鏡やコンタクトによる矯正をしていない者の割合は、本県の小学生では、全国より一・二ポイント高い五・七%、中学生では、全国より三・四ポイント高い一〇・四%となっております。
就学援助の助成制度の創設についてでございます。就学援助の実施主体は市町村でありまして、どのような援助が必要であるかは、各市町村で判断されるものと考えております。県教育委員会としましては、市町村が必要な就学援助を行えるよう、引き続き国に対して財政措置の充実を要望してまいります。
次に、部活動の意義と克服すべき問題点についてでございます。部活動は、生徒の心身の発達や好ましい人間関係の形成などに資するとともに、授業以外で生徒の個性が発揮できる場となるなどの教育的意義があると考えております。しかしながら、生徒数の減少や教職員の負担過重などから、従前と同様の体制での運営が難しくなってきていると認識をしております。
部活動の地域移行についてでございます。部活動の数や種類、生徒数、保護者の思い、教職員の負担感などが地域によって異なりますことから、各市町村の実情に応じた地域移行が検討されるべきと考えております。このため県教育委員会では、生徒、保護者、教職員を対象としたアンケート調査を実施するとともに、学識経験者や中学校長、それからPTAなどの代表者によって構成する協議会の中で、地域移行に関する県としての方向性を検討しております。
持続可能なスポーツ環境の整備についてでございます。今後、子供たちがスポーツに継続して親しむことができる機会を維持していくためには、地域のスポーツ環境を生かした部活動の地域移行が求められております。県教育委員会といたしましては、地域の指導者や運営団体の確保、費用負担の在り方など実施主体である市町村が行う条件整備を支援するため、関係部局やスポーツ団体等と連携するとともに、地域移行に向けた予算措置について、引き続き国へ要望してまいります。
34 ◯副議長(井上 博隆君) 高瀬菜穂子君。
35 ◯六十九番(高瀬 菜穂子君)登壇 子供の眼鏡助成について再質問します。大変冷たい答弁でした。教育長の御答弁で、〇・三未満で眼鏡の矯正を行っていない小学生が五・七%、中学生が一〇・四%もいることが分かりました。全国平均を上回る率で、約三万人にも上ります。これを放置してよいのでしょうか。背景にあるのは子供の貧困です。助成の必要性について、知事及び教育長に再度伺います。
36 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。
37 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 繰り返しの御答弁になり大変恐縮でございますが、先ほどお答えいたしましたように、福祉用具として必要な眼鏡につきましては、補聴器や義足あるいはコルセットなどと同様に
生活福祉資金の貸付制度の対象となり、これを活用することができます。この貸付制度を活用して対応できるものと考えております。
38 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。
39 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 眼鏡を就学援助の対象とする必要性についてでございます。国の補助事業の対象とならない品目であっても、全国には各市町村が独自にその就学援助の対象としている事例があることは承知はいたしております。県教育委員会といたしましては、そうした地域の事情を踏まえた就学援助がなされるよう、引き続き国に対して財政措置の充実を要望してまいりたいと考えております。
40 ◯副議長(井上 博隆君) 高瀬菜穂子君。
41 ◯六十九番(高瀬 菜穂子君)登壇 繰り返しの冷たい答弁でした。
生活福祉資金を借りることも、仕事を休んで手続をすることも大変なんですよ。
予算編成権を持つ知事に要望します。知事は、誰もが安心して、笑顔で暮らせる福岡県を標榜しておられます。眼鏡を買ってと言えず我慢している、見えるふりをしている子供たちの笑顔のために、ぜひとも予算措置をしていただきたい。一億円あれば、一万人の子供たちに一万円支給できます。知事の英断を強く求め、質問を終わります。(拍手)
42 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田健一朗君。(拍手)
*吉田(健)議員質問
43 ◯十七番(吉田 健一朗君)登壇
自民党県議団の吉田健一朗です。通告に従いまして、海外福岡県人会との交流について質問いたします。
コロナウイルス感染症流行のため二年間延期されていましたが、本年十月、ブラジル福岡県人移住百十周年、ブラジル福岡県人会創立九十周年を記念する式典が開催されました。このたび、ブラジル福岡県人会から招聘を受け、福岡県議会からは桐明議長の代理として吉松団長、福岡県からは生嶋副知事をはじめとする訪問団が十月十七日から二十五日まで派遣され、私もその一員として参加いたしました。サンパウロでは、記念式典が盛大に開催され、約三百名もの県人の皆様が一堂に会しました。私も、多くの県人の皆様とテーブルを囲み懇談させていただき、ふるさと福岡から遠く離れたブラジルの地で幾多の困難を乗り越えられ、異国で地域コミュニティーをつくり、ブラジルの方々に尊敬される日本人として認知されるまでになられた県人の皆様に対する畏敬の念を新たにしたところであります。サンパウロのほか、福岡県訪問団として初めて訪問したパラナ州のクリチバやロンドリーナにおいても、手作りの料理、子供たちの太鼓によるお出迎えや現地の日本語教室で学んだ日本語による中学生の歓迎スピーチなど心打つ各支部の手厚い歓待を受け、県人の皆様と親交を深めることができました。特にクリチバでは、一九六三年に移住された古賀市出身の中桐廣文さんが経営するCCMという農機具販売の会社を訪問し、同郷の方の御苦労や御活躍の話をお聞きすることができました。このように非常に有意義な訪問であり、書籍やテレビの特集では感じることができない県人会の皆様の体験談や現地の歴史や習慣は、直接ブラジルを訪問しないと理解できないものと感じました。また、コロナ禍により世界は大きく変わりましたが、引き続き、人と人との草の根交流の積み重ねが信頼関係、友好関係を深める基礎になることは変わらないと改めて認識いたしました。
このブラジル福岡県人会は、三十九の海外福岡県人会のうち、約千二百人で組織される最大の県人会であり、これまで、県人会の若者を県内の大学等で一年間留学生として受け入れる県費留学生事業や、県人会のお子さんを福岡に招いて日本文化やホームステイ等を体験してもらう子弟招へい事業に毎年参加されているとお聞きしています。今回の訪問でも、県人会の皆様から、これらの事業がコロナ禍で縮小や中止になっていたため、今後事業が実施されなくなるのではないかという強い危機感があり、また移住三世以上の日本語を話すことができない若い世代の交流のためにも事業を継続し、充実していただきたいといった声を聞かせていただきました。特に、子弟招へい事業は令和二年度、三年度の二回、コロナウイルス感染症の流行により中止になったため、参加を予定していたお子さんがとても残念がっていると伺っており、中止で参加できなかったこれらのお子さんへの配慮も必要だと考えます。また、オンラインでの交流や日本語学習についての御提案もいただきました。ブラジルは中南米で最大の面積、人口を誇り、経済も大きく発展しており、このような重要な国との交流を進めていくことは、日本の国益にもかなうものであります。福岡県においても、その基礎となる人と人の交流を継続していくことが必要であると考えます。
そこで、質問いたします。県人会の若い世代の交流や担い手育成に資する県費留学生事業や中止で参加できなかったお子さんへの配慮を含めた子弟招へい事業の実施について、またオンラインでの交流や日本語学習などを活用した今後の海外県人会との交流について、知事の御所見をお伺いいたします。(拍手)
44 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。
*知事答弁
45 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
海外福岡県人会との交流についてのお尋ねでございます。今年度は、十月にブラジル県人会の周年事業が、先月はペルーにおきまして海外県人会の世界大会が開催をされまして、三年ぶりに本県から訪問団を派遣をいたしました。私自身もこのペルーの世界大会に参加いたしましたが、その際、各県人会の代表者の皆様から、県費留学生事業及び子弟招へい事業の継続の要望を多くいただきました。これらの事業に参加をいたしました子弟は、福岡に対する興味やつながりを深め、学んだ知識や体験を生かしてそれぞれの国で活躍いたしますとともに、県人会活動を担う人材に育つなど多くの成果を上げてきているところでございます。このうち子弟招へい事業につきましては、県にも各県人会から、コロナ禍による中止で参加できなかった子弟への配慮を求める声が寄せられましたことから、今年度は、このような子弟も参加できますよう招聘枠を広げることといたしました。この措置により、来年一月に実施予定の事業には、中止をした年に参加予定でございました八名の子弟が来県いたします。県といたしましては、今後もこれらの事業を継続して実施してまいる考えでございます。
さらに県では、一昨年度から新たにオンラインによる日本語教室を実施しておりまして、これまで延べ二百三十九名の各国の子供たちが受講いたしました。世界大会に参加をいたしました各県人会からは、楽しく日本語を学べて感謝しているとの声をいただくなど、大変好評でございます。このオンライン教室では、日本の四季の風物詩や福岡の魅力について紹介をいたします日本文化の授業も実施をしておりまして、今後は、その内容を充実させながら、参加者を広げるとともに、オンラインを積極的に活用して県人会との幅広い交流を進めてまいりたいと考えております。
46 ◯副議長(井上 博隆君) 新井富美子君。(拍手)
*新井議員質問
47 ◯十番(新井 富美子君)登壇 皆様、こんにちは。民主県政県議団の新井富美子でございます。通告に従いまして、学校給食の無償化における県の取組について質問をさせていただきます。
現在、コロナ不況に加え物価が高騰する中、学校給食費の無償化の必要性がますます高まっております。全国でも、多くの市町村が、財政確保の困難を抱えながらも、保護者の教育費の負担の軽減と、義務教育学校における子供たちの食の保障のために、小中学校の給食費の完全無償化に踏み切っております。大阪府の高槻市、東京都葛飾区、石川県加賀市、中核市である青森県青森市などが、今年、小中学校の給食費を完全無償化した自治体でございます。しかし、その一方で、その必要性を感じながらも、財源確保の問題から、給食費の完全無償化が実現できない市町村がほとんどでございます。朝日新聞社の調査では、現在、全国千七百四十市町村の中で、完全無償化している市町村は二百ほどとのことですから、その割合は一割強にすぎません。私の地元久留米市でも、給食費の完全無償化の取組をしてほしいという意見を以前よりも多く聞くようになりましたし、久留米市議会の定例会においても一般質問がなされているところでございます。しかし、久留米市は、児童生徒数が二万七千人と多く、完全無償化に係る予算は八億九千万円にも上るという財政上の問題があり、実現に向けた検討にはまだまだ時間がかかりそうでございます。現在、福岡県において給食費を完全無償化している市町村はないやに聞いております。どの市町村も同様の事情と推察しますが、事日本では、日本全体において生活状況が厳しい時代が長く続いていることと、精神的に助けの声を求めにくい社会であることから、その無償化の声がPTA会や行政に届きにくいという、そういう背景を鑑みますと、保護者の負担は、顕在化している以上に深刻化しているのではないかと強く懸念をいたしております。
さて、学校給食法では、その雑則において、給食費の負担は保護者であるとしておりますが、義務教育校の設置者である市町村がその負担を補助することは禁止されてはいないため、現在、無償化等の実施は当該市町村の判断に任されております。一方で、保護者の負担に関する都道府県の任務などは示されてはおりません。しかし、相当数の方々と市町村が苦悩奮闘している姿を前に、都道府県がただ傍観しているというのは、それでいいわけはございません。実際に、最近、千葉県でコロナ不況と物価高騰で経済的な負担が増える子育て家庭を支援するために、給食費の無償化に向け県内市町村と連携して取組を始めたところでございます。千葉県全域で、公立の小中学校や
特別支援学校に通う子供のいる家庭のうち、三人目以降の児童生徒の給食費を無償化するとして、無償化の費用を市町村とで分担、無償化に必要な事業費約三億二千万円は、県の
補正予算として今十二月議会に提出するとのことでございます。この千葉県の取組は、これまで市町村のみに任されてきた給食費の無償化の課題について、県も積極的に役割を果たそうとする意味で大変意義が大きいものと考えております。
以上を踏まえまして、吉田教育長に質問をいたします。まず、給食費の無償化の大前提として、福岡県の政令市を除く市町村立小中学校の完全給食の実施状況をお尋ねします。
次に、福岡県の市町村において、学校給食費の負担軽減の取組状況とそれに対する認識をお尋ねいたします。
そして最後に、学校給食の無償化における県の取組について質問をいたします。福岡県の政令市分を除く小中学校の給食費を県が全額負担した場合の総額を試算いたしますと、年間約九十億円となります。これは国からの様々な補助分を除いた実質的な金額となります。かなり大きな金額になりますけれども、福岡県の子供たちの食の保障を中心に考え、福岡県としても何らかの取組を始めるべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
真摯な御答弁をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
48 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。
*教育長答弁
49 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 小中学校の完全給食の実施状況についてでございます。現在、小学校では、全ての市町村において完全給食を実施をしております。中学校では、五十四市町村において実施をしております。県教育委員会では、この残る四市町に対して、学校給食の意義などの周知や、既に実施している事例の情報提供、施設設備に係る国庫補助制度の活用について助言などを行ってきたところでございます。
県内市町村における負担軽減の取組とその認識についてでございます。市町村によりましては、小中学生が三人以上いる世帯のうち第三子以降の児童生徒へ全額補助をしたり、全児童生徒へ一定金額の補助をしたりするなど保護者負担軽減の取組が行われております。これらの取組については、学校給食の実施主体である各市町村が地域の実情に応じて保護者に対しての支援の必要性やその方法などを判断されるものと認識をいたしております。
学校給食の無償化についてでございます。学校給食費は、学校給食法において保護者が負担するということとなっておりまして、その無償化につきましては、一義的には国が検討するものであると考えております。ただし、経済的理由により負担が厳しい保護者に対しましては、生活保護や就学援助制度による支援がなされております。このため県教育委員会としましては、引き続き市町村教育委員会に対し、就学援助制度の周知徹底を指導いたしますとともに、国の動向や参考となる自治体の取組について情報提供いたしてまいりたいと考えております。
50 ◯副議長(井上 博隆君) 新井富美子君。
51 ◯十番(新井 富美子君)登壇 御答弁をいただきました。
では、要望を一つさせていただきます。県は、来年度から、福祉労働部に新たな課を設置し、子供真ん中社会を目指すこととして、医療、保健、福祉、教育、療育にわたる県こども計画の策定の総合調整と、部局横断的な課題にも機動的に対応するとのことでございました。教育委員会として、この新しい課との接点を持ち、学校給食の完全無償化に向けた議論をぜひ行っていただきますよう強く要望いたしまして、一般質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
52 ◯副議長(井上 博隆君) 立川由美君。(拍手)
*立川議員質問
53 ◯二番(立川 由美君)登壇 日本共産党の立川由美です。通告に従い一般質問を行います。
まずは、高齢者への補聴器の助成について質問します。これまでもこのテーマでは、知事への見解をお尋ねしてきましたが、兵庫県が二〇二二年度に高齢者の補聴器活用調査を行い、調査に参加いただく方に補聴器の購入費を補助する事業を行うなど、状況に変化が生まれていることから、再度お聞きしたいと思います。
〔井上副議長退席 桐明議長着席〕
国の補聴器助成は、障害者手帳を受給した方に限られ、圧倒的多くの方は助成がなく、数十万円の購入費用がかかることもあり、高くてとても買えない、そうした困っているという声があります。兵庫県では、こうした声を踏まえ、加齢性難聴の高齢者の補聴器使用と社会参加活動の関連性を調査し、その参加者四百名に対し、上限二万円で補聴器の購入を補助するという取組を実施しています。今後一つのモデル事業のような役割を果たすのではと、私自身、大変注目しています。二〇二二年三月の時点で助成制度を実施しているのは全国で百十五自治体です。本県でも先駆けて実施している田川市や、今年度から県内でも小竹町、みやこ町、大刀洗町が補聴器助成制度を実施しています。また、全国一律の補聴器助成制度を求める地方議会からの意見書は六県百八十市町村に上り、地方議会への請願が四自治体で採択されるなど、制度を求める声が以前にも増して大きくなっています。加齢性難聴とは、加齢によって聴力の低下を発生する障がいです。七十五歳以上では、約半数が難聴に悩んでいると言われています。コロナ禍で友人、知人との接触が少なくなれば、聞こえの問題に、問題を抱えていても気づくことが遅れてしまうのではないでしょうか。鬱状態の認知症の発症リスクを大きくするとも言われています。こうした難聴の改善には、補聴器で生活の質を維持し、社会交流を図りながら、住み慣れた地域で自分らしく暮らす聞こえのバリアフリー化が必要と考えます。
そこで知事にお尋ねします。本県でも兵庫県と同様の調査を行い、その参加者に補聴器の購入費用を助成するお考えはありませんか。
また、全国一律の補聴器助成制度を国に求める考えはありませんか。知事の見解をお聞かせください。
次に、学校給食費の負担軽減について質問します。先ほど民主県政県議団の新井議員も質問されましたが、大変重要な課題だと私自身も感じています。学校給食の無償化について、我が会派の高瀬菜穂子議員がさきの決算特別委員会で質問した際の県の答弁は、学校給食法十一条において保護者が負担することとなっているというものでした。しかし、岸田首相も、我が党の小池晃参議院議員の質問に答え、学校給食法は自治体判断の全額補助を否定していないと明確に答えています。義務教育は無償という憲法の精神を生かし、多くの自治体が無償化に踏み出している今、学校給食法の保護者負担を理由とするのではなく、給食の無償化を進めるべきだと思います。
文部科学省が二〇一七年度に初めて行った給食費無償化実施状況調査では、全国千七百四十自治体のうち、小中学校両方で無償化を実施している自治体は全体の四・四%、僅か七十六自治体でした。しかし、十二月に掲載された、しんぶん赤旗の報道によりますと、現在、二百五十六自治体で学校給食の完全無償化に取り組み、何らかの支援をしている自治体も全国で八〇%を超えるという状況になっています。本県でも嘉麻市や那珂川市、桂川町など、新型コロナ臨時交付金を活用し、期間限定で実施する自治体があります。都道府県レベルでは千葉県が第三子からの無償化を始めました。そこで、全国の小中学校の完全給食無償化のデータを見てみますと、四十七都道府県のうち、一自治体も無償化が実現されていない五県のうちに、この一県に福岡県が該当いたします。三人の子育て中のお母さんから、私たちのような課税ぎりぎりの子育て世代には何の恩恵もない、国の支援は非課税世帯ばかりにと、不満を漏らしていました。
周りの自治体が次々と無償化を進める中、本県としても学校給食費の無償化を目指し、軽減措置を行った市町村に対し財政支援を行うべきではないでしょうか。教育長の見解を伺います。
最後に、国道三号広川八女バイパスについて質問します。この道路計画については、地元住民からその必要性について疑問の声を聞いており、国会でも取り上げられ、昨年二月開催の福岡県都市計画審議会においても、様々疑問が出された結果、採決が保留されたと聞いています。ところが、本年九月一日、僅か六日間の周知期間で開催された都計審で、議案が了承されたとのことです。しかも、その議事録はまだ公開されておらず、議論の中身が分かりません。
住民説明が不十分、一個人の希望どおりのルートになっている、広川町の上広川小学校建設のためにルートが変更になった、八女市では忠見、大籠集落を分断する計画になったなど疑念の声が上がっていますが、九月の都市計画審議会でどのような説明を行ったのか、知事の答弁を求めます。
県と県議会は、都計審で保留になっていた今年七月、このバイパスの早期事業着手を求め、国に要請を行ったということです。住民説明会はその後、八月に開かれました。住民説明の前に、都計審で保留になっている案件について、早期事業着手を国に特別に求めるのは通常あり得ない、異常な対応ではないでしょうか。本事業は概算で約三百億円、うち県の負担は百億円の大型プロジェクトです。多くの疑惑をはらみ、また必要性に疑問符がつく道路計画そのものを見直すべきではありませんか。渋滞は県道立花線の残された箇所を整備することで解消できるとの指摘もあります。国道三号広川八女バイパスについては、この都市計画を見直し、取りやめるべきではないでしょうか。要望とも併せて知事の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
54 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。
*知事答弁
55 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。
高齢者の補聴器の活用調査と購入費用の補助についてお尋ねがございました。議員の御質問にございました兵庫県の調査でございますが、兵庫県では、今年度から来年度にかけて、加齢性難聴の高齢者の方四百名を募集をいたしまして、補聴器の使用と社会参加活動の関連性について調査を実施しておりまして、この調査への協力者に対し、補聴器購入費用の一部、お話にもございましたが、上限二万円として補助をしておるところでございます。兵庫県におきましては、この調査事業により、補聴器使用によって社会参加活動が推進されるとの効果が確認できた場合は、補聴器助成制度の創設を国へ要請することも考えていると伺っておりまして、県といたしましては、まずは、その調査結果を注視してまいりたいと考えております。
次に、高齢者に対する補聴器助成制度の国への要請についてでございます。現在、聴覚障害六級以上として身体障害者手帳が交付された方などに対しましては、障害者総合支援法に基づきまして補聴器購入費の九割を助成するという制度がございます。この制度の対象とならない方への新たな助成制度の創設につきましては、補聴器使用によりまして、例えば認知機能の低下を予防できるといった効果を明らかにする必要があると考えます。まずは、先ほど述べました兵庫県の調査結果、あるいは国立長寿医療研究センターでの補聴器使用による認知機能の変化についての研究を注視してまいりたいと考えております。
次に、国道三号広川八女バイパスの都市計画決定についてでございます。昨年二月に開催をいたしました県都市計画審議会におきまして、住民説明が不十分、ルート決定の考え方が分からないといった御指摘を受け保留となりました。このため、今年九月に開催いたしました同審議会におきまして、再度説明を行いました。まず、住民説明が不十分という指摘に対しましては、県は、地元の市町や事業予定者でございます国と共に、昨年二月開催の審議会までに八女市、広川町において合計十一回の説明会を開催してきたこと、今年八月にも改めて説明会を開催しまして、地域の現状や課題、想定される整備効果、ルート決定の考え方などにつきまして、丁寧に住民の皆さんに説明を行ったことを御説明いたしました。次に、ルート決定の考え方が分からないという御指摘に対しましては、県は、八女市、広川町から都市計画原案の申出を受けまして、重要な施設に配慮したルートになっていることを確認し、都市計画案を作成したこと、集落の分断を避けるため、広川町や学校関係者の意見を踏まえ、やむを得ず上広川小学校を横断するルートとしたこと、八女市の忠見地区、大籠地区につきましては、集落が東西方向へ長いため集落の分断は避けられないが、なるべく影響の少ないルートを設定しており、事業予定者でございます国も、集落内の往来や見通しを確保するための橋梁化などを検討していくことを説明したところでございます。
この国道三号広川八女バイパスの都市計画見直しについてでございます。この広川八女バイパスは、現道の渋滞緩和や交通事故の減少、災害時に高速道路や現道が不通になった場合の代替路線の確保を目的とした重要な路線でございます。今年一月には、八女市と広川町におきまして、地元自治体や議会、行政区長会、商工会などで構成いたします一般国道三号(広川~八女)バイパス整備促進協議会が設立をされました。この協議会から、六月には県議会へ、七月には県に対し早期事業着手の要望が行われたところでございます。県といたしましても、このバイパスの必要性を認識しておりまして、協議会からの要望を重く受け止め、県議会と共に国への要望を行ったところでございます。このように、本路線は都市計画上必要なものであると考えているところでございます。
56 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。
*教育長答弁
57 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 市町村に対する学校給食費の財政支援についてでございます。学校給食費は、学校給食法において保護者が負担をすることとなっており、その無償化については、一義的には国が検討するものであると考えます。ただし、経済的理由により負担が厳しい保護者に対しましては、生活保護や就学援助制度による支援がなされております。また、実施主体である市町村が地域の実情に応じて、給食費の一部補助など保護者負担軽減の取組を行っております。このため県教育委員会といたしましては、引き続き市町村教育委員会に対し、就学援助制度の周知徹底を指導するとともに、国の動向や参考となる自治体の取組について情報提供をしてまいります。
58 ◯議長(桐明 和久君) 高橋義彦君。(拍手)
*高橋(義)議員質問
59 ◯十四番(高橋 義彦君)登壇 本年度最後の一般質問をさせていただきます
自民党県議団、高橋義彦でございます。少し緊張しておりますが、しっかり頑張らせてもらいます。本日は、外国人を対象とした事故、災害発生時の危機管理について御質問いたします。
去る十一月十六日から十八日にかけ、第十一回海外福岡県人会世界大会がペルーの首都リマで開催されました。福岡県からは、服部誠太郎知事、桐明和久県議会議長、藏内勇夫九州の自立を考える会会長、我が会派代表の松本國寛会長をはじめとする訪問団が派遣され、私もその一員として参加いたしました。今回の世界大会では、福岡県からの移住者及びその子孫等で構成される県人会から、九か国、九県人会の約百七十名が参加し、記念式典、歓迎レセプション、各県人会の代表者による代表者会議、さよならパーティーなどの行事が盛大に行われました。福岡を母県とする各県人会の皆様との交流を通し、関係をより深めることができ、本県とそれぞれの国をつなぐかけ橋である県人会との関係を今後も大切にしていかなければならないと強く感じました。
また、今回の世界大会では、次回の第十二回世界大会を二〇二五年に福岡で開催することも決まりました。知事におかれましては、海外県人会の皆様を温かくお迎えできるように、着実に準備を進めていただきたいと思っております。
加えて、今回のペルー訪問では、日系人協会や移住資料館などを訪れ、一八九九年に最初の日本人がペルーに移民して以来、本当にたくさんの困難を乗り越えられ、移住先の発展に大きな貢献をされていることを肌身をもって感じることができました。
そこで知事に伺います。今回のペルー訪問全体を通して、どのようなことをお感じになられたのか、また三年後の世界大会へ向けた知事の思いについて、お聞かせください。
さて、世界大会をはじめ、ペルー訪問は大変実りの多いものでした。しかし、訪問中に予期せぬ事態が起こりました。世界大会最終日の十一月十八日午後のことです。リマ国際空港で離陸のため滑走中の旅客機と滑走路に入り込んだ消防車両が衝突するという大事故が発生いたしました。現地の報道によると、この大事故で二名の方がお亡くなりになり、少なくとも三十七名の方が負傷されたとのことです。また、機体を滑走路からクレーン移動させる必要があり、その間、空港施設も閉鎖となりました。現地で知り得た情報では、当初、翌十九日午後までとなっていた閉鎖期間が、事故処理が遅れた影響で、実際に再開されたのは二十日でした。既に報道発表なされておりますが、服部知事におかれましても搭乗予定であった帰国便が欠航となり、大きな影響が出てしまいました。知事も実際に御経験されたので分かると思われますが、言葉も通じない海外の地で、ホテルの手配や帰国便の振替など、何の支援もなく旅行者が行うことは大変です。ましてや、事故後の情報は錯綜し、今回はペルーの言語がスペイン語のため、英語による情報も少なく、空港の再開情報しかり、正確な情報を得ることも大変困難でした。いかに情報や支援というものが大事であるかを思い知らされる出来事でございました。逆の視点で考えると、このような大事故や地震、大雨などの災害において、本県で外国人が事故や災害に見舞われた場合、その方々にいかに情報を届け、どのように支援するかということは極めて重要と考えます。空港での事故は、本県でも一九九六年に、福岡空港で離陸中の飛行機がエンジントラブルのため滑走路をオーバーランする大事故が起きています。リマの出来事は、決して他人事の話ではありません。
そこで知事に伺います。今回のリマでの大事故のように、交通の要である空港や港、駅などでの大事故が発生した場合、危機管理上、県ではどのような体制で情報収集や庁内における情報共有と対応が図られるのか、お尋ねします。
その上で、本県で暮らす在住外国人や観光中の外国人に対し、事故や災害の情報がどのような形で多言語発信や多言語支援されるのか、お尋ねいたします。
さらに、事故や災害が起きた場合を想定して、事前に備えておくことが大切です。今や福岡県は約七万六千人の外国人が生活し、コロナ禍前は約二百八十万人の外国人が福岡から入国されるまでに発展しています。福岡で暮らしたり、滞在したりする外国人の安全、安心を確保することは、福岡県がさらに国際的な発展を遂げる上で大切なことと考えます。
世界から選ばれる福岡県を目指す上で、外国人の安全、安心確保に向けた普及啓発に県は力を入れるべきであると考えますが、知事の所見をお尋ねいたします。(拍手)
60 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。
*知事答弁
61 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。
ペルー訪問の感想と次回の県人会世界大会へ向けた思いについてお尋ねがございました。今回のペルー訪問は、九州の自立を考える会の藏内会長、桐明議長をはじめ県議会の皆様方と一緒に海外福岡県人会世界大会への参加、ペルー日系人協会への表敬訪問、日本人ペルー移住資料館の視察、日系人が設立をいたしまして日本語教育を行っておりますラ・ウニオン校の訪問などを行ったところでございます。また、リマ空港で発生をいたしました事故によりまして帰国日程を変更せざるを得なくなりましたことから、公務を追加いたしまして、約二万人が集います日本祭りに片山駐ペルー特命全権大使、マルイ日系人協会顧問、大内田世界大会実行委員長をはじめとする福岡県人会の皆さんと共に参加をさせていただき、日系人の皆様から大変温かく歓迎をいただきました。これらのことを通じまして、移住されてから百年以上の長きにわたり多くの苦難を乗り越えてこられた福岡県人、日系人の皆様方の御労苦に触れ胸が熱くなるとともに、現在の地位を築かれ、それぞれの国の発展に貢献されているお姿を拝見しまして、同じ福岡県人、日本人として、心から誇らしく思いました。また、日系人が設立をいたしました資料館や学校の訪問、熱気あふれる日本祭りへの参加を通じ、ペルーに住む日系人の方々のバイタリティーや底力のようなものを肌で感じたところでございます。次回の世界大会は、三年後の令和七年に福岡県で開催をされます。県といたしましては、万全の態勢を整え、世界二十四の国・地域の三十九の県人会から里帰りされる皆さんを心を込めてお迎えできるよう、全力で準備を進めてまいります。
次に、空港などでの大事故への対応についてでございます。県では、災害や事故などが発生しました場合、その規模や状況等に応じ、災害対応体制を取ることといたしております。具体的には、多くの住民の皆さんが避難を要したり、多くの死傷者が発生するような大事故の場合で、特に知事が必要と認めるときは、災害対策本部を設置し、早急に自衛隊や消防等の防災機関を情報連絡員として受け入れ、迅速な情報共有を図ることといたしております。併せまして、適宜災害対策本部会議を開催し、庁内関係課の体制や対応状況等を把握いたしますとともに、防災機関からの情報も共有しながら、県と防災機関等が連携して迅速、的確に事故に対応してまいります。
外国人に対する事故や災害時の情報発信及び支援についてお尋ねがございました。本県には、現在、留学生や技能実習生など約七万六千人の外国の方が暮らしていらっしゃいまして、これらの方々へ市町村ごとに発令される地震や台風、大雨などの注意報、警報、避難指示などを福岡県防災ホームページでは五言語で、防災メール・まもるくんでは四言語で発信をいたしております。併せまして、大規模災害発生時及びそのおそれがあるときには、県国際交流センターに災害時多言語支援センターを開設し、外国人の避難状況を把握いたしますとともに、市町村からの要請に応じ、避難所での案内表示などの翻訳や通訳の支援を行っております。外国人観光客につきましては、県の多言語の観光ウェブサイト、ビジット福岡やSNSにおきまして、速やかに事故や災害情報を発信することといたしております。また、二十四時間三百六十五日、二十の言語による電話通訳サービスふくおかよかとこコールセンターを設置しておりまして、災害時においても外国人観光客が宿泊施設や観光案内所等のスタッフと円滑にコミュニケーションを図ることができる支援体制を整えております。これらの取組に加え、防災メール・まもるくんをさらに発展させまして、現在地の危険度や避難所の情報を表示する機能などを備えたアプリ、ふくおか防災ナビ・まもるくんを今月の運用開始を目指し開発を行っているところでございます。このアプリでは、これまでの日本語、英語、中国語、韓国語に加え、ベトナム語でも発信する予定であります。このことによって、さらに多くの外国人に必要な情報を的確に届けられるよう取り組んでまいります。
外国人の安全、安心確保に向けた普及啓発についてお尋ねがございました。県では、外国人のための防災ハンドブックを七言語で作成をいたしまして、県内の市町村、大学へ配付いたしますとともに、県のホームページに掲載をいたしております。また昨年度から、市町村と連携し、外国人を対象とした防災訓練を実施しておりまして、情報を伝えるのに有効な手段である、易しい日本語を使って、ハザードマップや避難所についての説明や段ボールベッド等を使った避難所生活の模擬体験など、災害への備えについて啓発を行っております。さらに、宿泊施設等の従業員の方が突然の事故や災害発生時にも慌てることなく外国人観光客に適切に対応できますよう、外国人旅行者のための災害対応マニュアルを策定し、県内の宿泊施設や観光案内所等に周知を図っているところでございます。県といたしましては、引き続きこのような取組を着実に進め、外国人が本県において安全、安心に生活や滞在ができる環境づくりに取り組んでまいります。
62 ◯議長(桐明 和久君) 以上で一般質問を終わります。
*議案審査付託
次に、提出議案審査のため、さきに上程いたしました第一六二号議案から第一九二号議案までの三十一件を、お手元に配付いたしております議案付託表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。
──────────────────────────────────────────
*請願上程
63 ◯議長(桐明 和久君) 次に、請願四件がお手元配付の請願文書表のとおり提出されましたので、これを一括報告上程いたします。
──────────────────────────────────────────
*審査付託
64 ◯議長(桐明 和久君) ただいま上程いたしました請願四件は、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午 後 三 時 八 分 散 会
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